楽園とは探偵の不在なり・サムネ
【書評】
楽園とは探偵の
不在なり

「この世が天使のいる世界だったら、どうなるでしょうか?」

いらっしゃいませ!

カフェミステリークイーンへようこそ!

スタッフの栞がオススメミステリー小説をご案内します。

どうぞお飲み物でも飲みながらのんびりとお読みください。

<本日のオススメはコチラ>

ミステリが読みたい!

2020年ミステリ・ベスト・ランキング国内編第2位

『楽園とは探偵の不在なり』

コチラの単行本、気になっている方も多いのではないでしょうか?

血のように赤黒い渦巻く雲にヒトガタに羽の生えた何かが飛んでます。

…そう!これが天使です!

え、いや天使といえば、もっと白くて、翼はフワフワしてて

美人で艶のある美しい金髪でボンッキュッボンッで…

なんて想像した方は一刀両断!裏切られますよ!

カバーに隠れた表紙はこのようになっています。

黒にシルバーの文字。

カッコイイ…

私は、読むときも本棚に保管するときも

ずっとカバーはつけたままのタイプなのですが、これはカッコイイから

カバーなしで置いておきたいくらいです☆

帯にも書いてあるように、

「ミステリが読みたい!2020年ミステリ・ベスト・ランキング国内編第2位

ですので、かなり注目を集めている作品です!

「このミステリーがすごい!2021年版」でも特集されています。

リアルな現実とファンタジーが融合した世界観がすごい。

孤島と館というミステリ好きにはたまらないシチュエーション!!

では、こんなすごい世界を作った作者様はどんな方かといいますと!

『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞

メディアワークス文庫賞を受賞されています。

他の著書もたくさんありますので、ぜひ検索してくださいませ☆

 

【栞のオススメ度】

 

裏切られ度 

☆☆☆☆★

ダーク度 

☆☆☆☆

かわいそうな探偵度 

☆☆☆☆☆

 

【こんな人にオススメ】

 

  • ちょっと変わったミステリが読みたい
  • 世紀末のようなダークな雰囲気が好き
  • クローズドサークルが大好物

当てはまる方はとても楽しめると思います♪

 

【ストーリー紹介】

 

これぞ王道本格ミステリのシチュエーションというべきだろうか、

孤島という外界から遮断されている場所、つまりクローズドサークル。

そこにある大きな洋館が舞台。

クラシカルな制服のメイドに執事。天才的な腕を持つコック。

そこで殺人事件が起こるのだが、、、

王道?否!この世界は異常な世界。

正確に言えば、5年前から異常な世界に変わってしまった。

5年前に起こった「降臨」以降人が人を2人以上殺した場合、

天使が殺した人間を地獄に引き摺り込むようになった。

天使と言っても、美しい姿ではない。

翼のある手足の長い灰色のグロテスクな生き物。

それなのに、人間は皆、その姿を見ても一様に「天使」と認識してしまう。

天使が人間を地獄に送る様は恐ろしく、

その現象が起きてから、大量殺人などは起きなくなる。

世界は平和になるだろうと思っていたが、

そんなことはなかった。

2人殺したら天使に地獄に引き摺り込まれるのならば、

1人殺すのはセーフだ。という考え方ができてしまった。

結局2人殺して地獄行きならたくさん殺してやるという人間も

出てくる。

そんな中、過去に傷を負っていた探偵の青岸焦(あおぎしこがれ)は

大富豪の常木王凱(つねきおうがい)に天使が多量に飛んでいる

彼の所有する常世島(とこよじま)に来ないかと誘われる。

そこで、殺人事件が発生。

世界の理の如く、一つの事件で終わるはずだった。

しかし、なぜか連続で殺人が起こってしまう。

2人以上殺すと問答無用で地獄に引き摺り込まれる世界で

なぜ連続殺人が起こるのか?

犯人はいったい誰なのか?心から信頼できる人間がいない中、

その謎に傷心の探偵が挑んでいく。

という物語でございます。

 

【ポイント】

 

今回のポイントは「天使」です。

さて、グロテスクな天使とはどんな感じかというと。

天使は人間が思い描くように翼を持っていたが、

それは鳥類の持つような羽毛に覆われたものではなく、

灰色がかった骨ばったものだった。

色の悪い血管が透ける様は、蝙蝠の翼に似ていた。P 13

天使の外見はというと、、、

天使の顔は鉋で削られたかのような平面になっていて、

表情はおろか目鼻口も存在しなかった。P 14

どうですか?

全然天使っぽくないですよね!

地獄に引き摺り込むあたり、どちらかというと、悪魔な印象。

でも、その世界の人々は皆

「天使」と認識してしまうのです!

読んでいて、背筋を薄寒いものが走りました。

恐ろしい、もし本当にこの世界にこの小説のような天使が

登場してしまったら、、、

私は永遠に空を見上げることができなくなるでしょう。(;_;)

ちなみに、角砂糖が大好物?のようです。

クローズドサークル的孤島に洋館、メイドに執事、天使に地獄と、

とにかくすごい世界でした。

それにしても結局人間は、どんな世界になっても

どうにかして自分の欲望のために突き進んでいくんだな。

と、天使以上に人間という生き物に対しても空恐ろしいものを覚えました…

適応能力の高さが人間の良いところでもあるんだけど…

ではでは、

ぜひ、あなたもこの不可思議で恐ろしい世界を堪能してください♪

そして、もし天使がいたらどうなるだろうと

想像してみるのも楽しいですよ^^